「このままじゃ、埋もれる。もっとちゃんと見せ方を整えなきゃ」
深夜にプロフィールを書き直しながら、頭の中でそんな声が鳴っていないか。書いては消して、また誰かの綺麗なページを見に行って、ため息をつく。
肩書き、ロゴ、配色、世界観、SNSのデザイン。ブランディングと聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは「見せ方」のほうだ。本屋のブランディング本も、SNSに流れてくるノウハウも、だいたい見せ方の話から始まる。
もちろん、それも大事だ。形には力があるし、僕自身、ロゴやサイトという「形」を作る仕事をしている。形が整った瞬間に、その人の覚悟まで決まる場面だって確かにある。
でも、RE:STARTでは順番がはっきり決まっている。
ブランディングの前に、自分を見つめ直す。飾る前に、まず中身に戻る。どんな依頼でも、ここだけは飛ばさない。
飾りは数日で作れる。でも、中身とズレた飾りは続かない
整ったデザイン。
それっぽい肩書き。
誰かの真似をした世界観。
どこかで見たような、かっこいい言葉。
正直に言えば、これだけでも一瞬は形になる。テンプレートもAIもある時代、見栄えのいいページなんて、その気になれば数日で作れてしまう。実際、見た目だけ先に整えて走り出して、半年もたずに止まってしまった人を、僕は何人も見てきた。
問題は、その先で起きる。中身とズレた飾りは、動かし始めた瞬間からきしみ出す。
自分の言葉じゃないから、発信が続かない。書くたびに、借り物の服で人前に立っているような感覚だけが積もっていく。
そして画面の向こうの人は、その違和感を必ず嗅ぎ取る。あなたが思っているより、ずっと敏感に。
言葉にはできなくても「この人、なんか違う」と感じて、静かに離れていく。きついことを言ったが、これは才能やセンスの問題じゃない。ただの、順番の問題だ。だから、直せる。
ブランディングは、自分を大きく見せる技術じゃない
世間では、ブランディング=「売れる見せ方を作ること」だと思われている。
僕は、この常識を疑っている。見せ方から入るから中身が置き去りになるし、置き去りにされた中身は、あとから必ずツケを回してくる。
本当は、何を届けたいのか。
それを、誰に届けたいのか。
なぜ、他の誰でもなく、あなたがやるのか。
その先で、どんな景色が見たいのか。
ブランディングの正体は、この問いに自分の言葉で答えて、それがちゃんと伝わる形へ整えていく作業のことだ。売れるために自分を作り変えるんじゃない。自分の奥にあるものを、嘘なく伝わる形にする。ここで言う「形」には、ロゴも文章も価格も、サービスの設計まで全部含まれる。順番が逆になった瞬間、ブランドはただの衣装になって、あなたは自分のブランドに着られる側になる。
ロゴやデザインは、その後の話。
中身さえ決まれば、形は驚くほど素直に決まっていく。色も、言葉も、写真の選び方も、全部「これしかない」に近づいていく。
焦りのまま作った世界観には、焦りがそのまま染み込む
焦り。
見栄。
不安。
誰かとの比較。
早く結果を出したい気持ち。
その状態のままブランディングすると、本来の自分から少しずつズレた世界観ができあがる。作っている間は、なんだかいい感じに見える。でも運用が始まると、投稿をひとつ書くたびに苦しくなって、「これ、本当に自分のブランドなんだろうか」と感じる瞬間が必ず来る。心当たりのある人は、少なくないはずだ。
もうひとつ、痛いところに触れる。見せ方ばかり整えたくなる時は、たいてい、中身と向き合うのが怖い時だ。自分の本音を掘るより、フォントを選んでいるほうがずっと楽だから。
責めたいわけじゃない。僕自身が長いことそうだったから、言っている。
僕は昔、「もっと実績を作ってから」「もっと完璧なプロフィールになってから」と言いながら、周りの目ばかり気にして、見せ方を整え直すことに逃げていた。
書いては消し、また書いては消し。発信の前にまず肩書き、肩書きの前にまず実績と、順番を増やしてはスタートラインを自分で遠ざけて、結局なにも届けないまま日々だけが過ぎていった。
だからブランディングを仕事にしている今も、毎回ここに立ち戻る。
自分を見つめ直すことを飛ばして作った形は、どれだけ綺麗でも、いつか自分で壊したくなる。——これは、断言する。
まず人を見る。本音から立ち上げたブランドだけが、長く生きる
だからRE:STARTのブランディングは、デザインから始めない。
まず、人を見る。ヒアリングシートの空欄を埋めるためじゃなく、その人がどう生きてきて、何に傷ついて、何を諦めきれずにいるのか。人生ごと見る。
あなたの本音。
これまでの人生。
遠回りしてきた経験。
思い出すと今でも痛む記憶。
どうしても届けたい人。
譲れない価値観。
まだ言葉になっていない違和感。
そこまで見てから、言葉・導線・デザイン・発信を整えていく。外側を盛るためのブランディングじゃなく、内側が滲み出るためのブランディング。だから、立派な実績も肩書きも要らない。何者かになってから始めるんじゃなく、今のあなたのまま始められる。むしろ、遠回りも痛みも、そのまま誰かにとっての入口になる。
売上だって、もちろん大事だ。ただし売上はゴールじゃなくて、想いを届け続けるための燃料。
燃料を稼ぐために本音を偽ると、肝心の火のほうが消えていく。
あなたは、何を、誰に、なぜ届けたいのか
あなたは、何を届けたい?
それを、誰に届けたい?
なぜ、他の誰でもなく、あなたがやる?
今日、綺麗に答えられなくていい。一行のメモでも、誰にも見せられない走り書きでも、今のあなたの言葉なら充分だ。
ただ、この3つの問いから逃げずに自分の言葉を探し始めた時——ブランディングは、もう半分終わっている。
売れる見せ方より、
嘘のない見せ方。
それが、想いが届くブランドの土台になる。偉そうに書いたけれど、僕もまだRE:STARTという看板を育てている途中で、この問いには何度も引き戻されている。
だから、急がなくていい。焦って外側を飾る前に、一度だけ内側に戻る。——その一歩から、一緒に始めよう。
一人で掘り切れない本音は、一緒に見つめればいい
想いはあるのに、言葉にならない。頭の中では渦巻いているのに、書き出すと急に薄くなる。そんな時は、ブランディング相談で一緒に掘り下げてみてほしい。
見せ方の話は、あなたの本音が見えてからで充分間に合う。
そもそも今の働き方や発信の方向に違和感がある人は、働き方・発信相談から。
ブランド以前の「自分はどう働きたいか」という軸を、一緒に見つめ直す時間にする。