夜中、ひとり台所に立って、冷蔵庫を開けたまま立ち尽くす。
食べたいわけでもない。なのに、何かを探している。
——自分が今、何を感じているのかさえ、わからない。
何がしたいのかも、何が好きなのかもわからない自分を、
——「中身がない」「意思が弱い」と責めてきたあなたへ。
その自己評価は、間違っている。これだけは、先に言い切っておく。
消えたんじゃない。聞こえなくなっただけだ
本音がない人なんて、ひとりもいない。あなたにも、ちゃんとある。
ただ、
——聞こえなくなっているだけだ。
ずっと、我慢してきた。
ずっと、人に合わせてきた。
ずっと、空気を読んできた。
——ずっと、自分の気持ちを、後回しにしてきた。
それを何年も続けていれば、自分の声はだんだん小さくなる。
——当たり前だ。聞かないものは、いつか聞こえなくなる。
でも、音量がゼロになったわけじゃない。
——ノイズの下に埋もれて、届かなくなっているだけ。声そのものは、まだあなたの中にある。
誰かの声が、自分の声より大きくなった
親の、期待。
学校の、普通。
社会の、正解。
誰かの、機嫌。
——そして、周りの、目。
それを優先するのを「いい人」「気が利く人」と世間は呼ぶ。
でも、何年も続けた先で自分の感情がわからなくなるなら——それは本当に、いいことだったのか。僕は、そうは思わない。
正直に言うと、僕もそうだった。周りに認められる肩書きや実績にしがみついて、「これが正解だ」と思い込んで、自分の本音は後回しにしてきた。気づけば、他人の声のほうが、自分の声よりずっと大きくなっていた。
他人の声に音量を奪われて、自分の心はノイズの一番奥に押し込まれる。——それが、本音がわからなくなる、ということだ。
「やりたいこと」より先に、「感じていたこと」
いきなり「やりたいこと」を探そうとしなくていい。むしろ、そこから入るから苦しくなる。
本音が聞こえなくなっている人に「やりたいことは何?」と聞いても、出てくるわけがない。
——まだ立ち止まれていない人に、いきなり走れと言うようなものだ。
まずは、一度立ち止まって、感情のほうを見る。
嫌だったこと。
苦しかったこと。
違和感があったこと。
——少しだけ、嬉しかったこと。
——なぜか、心が動いたこと。
そこを、ただ見る。評価しない。正解を出そうとしない。ただ、自分の中で起きていたことを、そのまま見るだけでいい。
本音は、立派な夢や目標から戻ってくるんじゃない。
日々の中で心がかすかに動いた、その小さな反応から戻ってくる。——僕も、そうやって少しずつ自分の声を取り戻してきた。今もまだ、その途中にいる。
無理に引き出さず、ノイズを下げていく
RE:STARTでは、本音を無理に引き出そうとはしない。
問い詰めて答えを出させるようなことは、しない。
やるのは、押し殺してきた感情や違和感を、
——一つずつ、静かに見つめ直すこと。それだけだ。
本音は、そこから少しずつ戻ってくる。急がせない。叫ばせない。あなたのペースで、いい。
声のボリュームを無理やり上げる作業じゃない。
——あなたを埋もれさせていたノイズを、一枚ずつ下げていく作業だ。ノイズが下がれば、もともとあった声は、勝手に聞こえてくる。
最近、心が動いたものは何か
最近、ほんの少しでも「嫌だ」と感じたことは、何ですか?
逆に、ほんの少しでも心が動いたことは、何ですか?
立派な答えを出そうとしなくていい。
——「ちょっと嫌だった」「なんとなく好きだった」。その「ちょっと」「なんとなく」のところに、本音の入口がある。あなたが思っているより、ずっと近くにある。
本音がないんじゃない。
聞こえなくなるくらい、
ずっと自分を後回しにしてきただけ。
だから、責めなくていい。責めても声は戻らない。これは、僕がそうだったから言っている。今日、心が動いた小さな一つを思い出す。
——それだけでも、ノイズはほんの少し下がる。すぐには変わらないし、簡単でもない。でも、後回しにしてきた自分の声に耳を澄ます時間を、今日から少しずつ自分に渡していい。そこから、人生はまた動き出す。
本音を、少しずつ取り戻していく
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どこで自分の声が小さくなっていったのかが、見えてきます。