最後に、自分の本音だけで何かを発信したのは、いつだったろう。
色を揃えた。トーンを揃えた。プロフィールも肩書きも、それらしく整えた。
世界観っぽいものは、たしかにできてきた。
——なのに、投稿するたびに少し苦しくなるのは、なぜだろう。
世界観を作りたい気持ちそのものは、間違っていない。統一感も、見せ方も、活動を続けていくなら大切な要素。色に迷い、フォントに迷い、プロフィールを何度も書き直してきたなら、それだけ真剣に向き合ってきたということ。僕も否定する気はまったくない。
でも、フォントや配色を選ぶ前に、ひとつだけ確認してほしいことがある。
その世界観の中身になるはずの「自分の本音」を、あなたは一度でも、ちゃんと見ただろうか。
真似た世界観は、最初だけ整って見える
売れている人の配色。
流行りのフォントと、写真の加工トーン。
憧れのあの人の、言葉づかいと余白の使い方。
参考にするものが増えるほど、ページはそれらしく仕上がっていく。
真似が悪いと言いたいんじゃない。最初はみんな、誰かの真似から入る。僕だってそうだった。実際、真似た直後の世界観は、ちゃんと整って見える。ここまでは、何の問題もない。
問題は、そのあと。借りてきた見た目と自分の内側がズレていると、投稿するたびに、少しずつ自分がすり減っていく。
書いているのに、自分の言葉じゃない。発信は続いているのに、その中に自分がいない。読み返したとき、誰のアカウントなのか自分でもわからなくなって、投稿ボタンを押す手が、だんだん重くなる。
他人の家に住みながら「ここが僕の家です」と言い続けるような違和感。あれは、時間が経っても慣れない。むしろ発信を頑張れば頑張るほど、濃くなっていく。苦しさの正体は、努力不足じゃない。内側とのズレ。
強い世界観は、作る前から滲み出ている
「発信は、まず世界観を整えるところから」。ノウハウの世界では、それが当たり前のように語られている。でも僕は、その順番を疑っている。世界観は、最初に作るものじゃない。生きてきた中身から、最後に滲み出てくるもの。順番が逆になった瞬間、世界観はただの飾りになる。
デザインそのものは、外注できる。色もロゴもバナーも、お金を出せばプロが整えてくれる。
——でも、見た人の足を止める世界観だけは、外注できない。どれだけ予算をかけても、買えない。あれは、その人の内側からしか出てこないから。
何を大切にして、ここまで生きてきたか。
何をされたときに、どうしても許せないと感じるか。
どんな痛みをくぐり抜けて、いまの仕事にたどり着いたか。
誰のどんな顔が見たくて、その活動を続けているのか。
世界観の材料は、全部そこにある。実績でも、肩書きでも、フォロワーの数でもない。あなたがこれまで生きてきた中身、そのもの。むしろ、本音から世界観を立ち上げていく過程が、あなたを替えのきかない存在にしていく。だから、何者かになってから始める必要はない。何者でなくても、始められる。
綺麗なのに、刺さらない理由
綺麗なのに、記憶に残らない。
整っているのに、心が動かない。
おしゃれなのに、「この人にお願いしたい」までは、たどり着かない。
もし心当たりがあるなら、はっきり言う。足りないのはセンスでも、デザインの知識でもない。乗せるべき本音を、自分自身がまだ見ていない。原因は、それだけ。空っぽの器は、どれだけ磨いても、空っぽのまま伝わってしまう。
責めてるんじゃない。僕がそうだったから言ってる。
僕も以前は、周りの目に縛られていた。すごそうに見せる方法ばかり調べて、参考デザインを集めることには何時間もかけるのに、肝心の「なぜこの仕事をやるのか」は一行も書けない。完璧な見せ方が決まるまで出せない、と言い訳しながら、何も出せない日々だけが過ぎていった。
「あ、この人だ」という感覚は、外側の完成度からは生まれない。本音が透けて見えた瞬間にだけ、生まれる。だからこれは、見せ方の問題じゃない。出す前に、自分の内側を見たかどうかの問題。
見せ方の前に、本音。順番はそれだけ
だからRE:STARTでは、世界観を作る前に、まずその人の本音を見にいく。
何に怒ってきたのか。何に救われたのか。本当は、誰に何を届けたいのか。
飾る前の、生身の言葉を先に出してもらう。きれいにまとまっていなくていい。むしろ、まとまる前の言葉のほうが強い。
その言葉が出てきてはじめて、色、余白、写真、導線へと翻訳していく。
内側から、外側へ。順番は、これしかない。
逆の順番で作られた世界観は、よくできた仮面に近い。遠目には立派に見えるし、しばらくは機能する。でも、被り続けている本人がいちばん息苦しくなって、やがて投稿の手が止まり、世界観ごと発信が止まる。そうやって消えていった発信を、僕はいくつも見てきた。
内側から外側へ——この順番で作った世界観は、流行が変わっても崩れない。
売上もゴールではなくなる。その世界観で活動を続けていくための、燃料に変わる。
あなたの本音と、世界観は一致しているか
あなたが本当に大切にしているものは、何だろう。
そして、いまの発信の見た目は、その本音と一致しているだろうか。
今日は、この2つをノートに書いて、並べてみてほしい。うまく書く必要はないし、誰にも見せなくていい。一言ずつでいい。
並べた瞬間、ズレている場所は、誰に指摘されなくても自分の目で見える。直すのは、それからでいい。あなたの世界観の本当のスタート地点は、テンプレートの中じゃなく、そのノートの上にある。
世界観を作る前に、
自分の本音を見る。
その順番で生まれた世界観は、無理に飾らなくても、必要な人へちゃんと届いていく。すぐにとは言わない。でも、確実に。
僕もまだ途中。それでも、これだけは言い切れる。本音から作った世界観は、あなたを苦しめない。発信するたびに、あなたを自分に戻してくれる。焦らなくていい。あなたが本音に戻るたび、世界観は勝手に深くなっていくから。
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