売上は、あなたじゃない。
きれいごとに聞こえてもいい。先に、これだけ言い切っておく。
売れた月は、自分にも価値がある気がして、人にも会いたくなる。売れない月は、自分の存在ごと否定された気がして、誰の投稿も見たくなくなる。
——あなたの中にも、この採点表はないか。
もしあるなら、この記事はあなたのために書いた。売上で自分を測る癖は、放っておくと数字より先に、あなた自身を静かに削っていく。売上の話に見えて、これは心の話。
数字が、その日の機嫌を決めていく
申し込みの通知が鳴る。よし、今日の自分は合格。
一日待っても、誰からも反応がない。今日の自分は、不合格。
気づけば売上とフォロワーの数字が、あなたという人間の、毎日の通知簿になっている。
この暮らしは、想像以上に消耗する。降り場のないジェットコースターに、毎日乗り続けているようなもの。
僕も、長いことこの採点表の中で生きていた。朝、目が覚めて最初にやることが、売上の画面と通知の確認だった時期がある。
数字がいい日は、何でもできる気がした。数字が動かない日は、自分のやってきたこと全部が間違いに見えて、手が止まった。
更新したって数字が変わらないことくらい、わかってる。わかってるのに何度も見にいって、結局何も作らないまま一日が終わる。そんな日が、本当に何日もあった。
はっきり言う。あの「数字を何度も見にいく時間」は、努力じゃない。不安をなぞって、自分をすり減らすだけの時間。画面を見ている間、あなたの仕事は一つも前に進んでいない。減っていくのは、心の体力だけ。
責めてるんじゃない。僕が毎日やっていたから、あの苦しさを知ってるというだけの話。
そして、知っているから言える。あなたを苦しめているのは売上そのものじゃなくて、売上で自分を測る、その測り方のほう。
数字が測れるもの、測れないもの
誤解しないでほしいけど、売上は大事。生活も、活動の継続も、数字が支えてくれる。仕事として続けるなら、目をそらしていい数字じゃない。
ただ、売上が測っているのは「今回の商品が、今回の届け方で、どれだけ届いたか」まで。あなたという人間の値段じゃない。
世間には「売れている人がすごい人」「数字こそ実力」という空気がある。SNSを開けば、誰かの売上報告が、当たり前の顔をして流れてくる。
じゃあ聞きたい。始めたばかりで、まだ売上ゼロの人は、全員すごくないのか。去年より数字が落ちた人は、人間としての価値まで落ちたのか。
——そんな方程式、誰が決めた。
売れた月のあなたと、売れない月のあなた。中身は、何ひとつ変わっていない。
積んできた経験も、想いも、誰かのために費やしてきた時間も、一円ぶんも目減りしていない。動いたのは画面の中の数字だけで、あなたじゃない。
結果は結果。存在は存在。ここを切り離すのは逃げじゃなくて、この仕事を長く続けていくための技術。この二つを分けられた人から、仕事は静かに強くなっていく。
売れない時期は、ダメな時期じゃない
売れない時期に、あなたの中から何かが消えてなくなったわけじゃない。
これまで積んできた経験も、磨いてきた言葉も、誰かを想って作ってきたものも、全部そのまま、あなたの中に残っている。
まだ届いていないだけ。届け方がズレているだけ。値段か、言葉か、出す場所か、相手か。
直すべきなのは、あなたの存在じゃなくて、そのどれか一つの歯車。
売れない時期の正体は、たいてい「調整の時期」。失格の通知じゃない。
それから、何者かになってから売ろうとしなくていい。実績が揃ったら、肩書きが立派になったら、フォロワーが増えたら。そうやって待っていたら、一生始まらない。
肩書きより先に、目の前の一人にちゃんと届くかどうか。たった一人の「助かった」に応えられるかどうか。仕事の原点は、いつだってそこにしかない。
「自分がダメ」と「直す場所がある」は、まったくの別物。別物なのに、夜になるとぜんぶ一緒くたになって襲ってくる。だから、明るいうちに切り分けておく。落ち込むのは、分けてからでも遅くない。
売上はゴールじゃなく、燃料
RE:STARTは、売上を否定しない。数字から逃げた瞬間に続かなくなるのが仕事だし、想いだけで食べていけるなんて、無責任なことも言わない。
ただ、順番だけは間違えたくない。売上のために自分を捨てるのか、自分の声から売上を育てるのか。
売上はゴールじゃない。やりたいことを続けて、次を作るための燃料。
燃料は、多いほうがいいに決まってる。でも、燃料計とにらめっこするために、あなたはこの仕事を始めたわけじゃないはず。
——本当は、誰に、何を届けたくて始めたのか。
だから僕は、数字で苦しくなっている人に、いきなり集客や売り方のテコ入れを勧めない。その前に、見にいく場所がある。自分と、仕事の関係。
その仕事は、本音から生まれたものか。今の売り方は、自分に合っているか。どこが噛み合っていて、どこにズレが出ているのか。
裁くより、整える。順番は、いつもこっち。
僕もまだ途中で、数字に心が揺れる日は普通にある。売れた日に浮かれて、静かな日に少し沈む。それでも「揺れた日に、自分まで裁かない」と決めてから、この仕事を嫌いにならずに続けられている。
売れない日の自分に、かけている言葉
売れない日の夜、あなたは自分にどんな言葉をかけている?
その言葉、同じ状況で落ち込んでいる大切な友達にも、同じように言える?
言えないはず。「あなたには価値がない」なんて、大切な人には一生言わない。なのに自分にだけは、ずっと平気で浴びせてきた。心当たりがあるなら、今夜その言葉を一度、紙に書き出してみてほしい。
書いて、少し離れて眺めてみるとわかる。あなたを一番深く傷つけてきたのは、売れなかった月々じゃなくて、そのたびに自分へ向けてきた、その言葉だったって。
売上は、整えるもの。
あなたは、否定しなくていいもの。
数字は、明日からも見ていい。燃料計だから、ちゃんと見ていい。ただ、見たあとに自分を裁くことだけは、今日でやめにしよう。
——売れた日も、売れない日も、あなたの価値は動かない。すぐには信じられなくてもいい。その場所に立とうとした日から、仕事も、人生も、もう一度動き出していく。
数字より先に、自分との関係を整える
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売れる形とあなたの本音がもう一度つながると、仕事は数字より深いところから立ち直っていく。