完璧な親なんて、いない。
ちゃんと育てなきゃ。
怒っちゃいけない。
間違えちゃいけない。
この子を、傷つけちゃいけない。
その「いけない」を、自分に積み上げるほど、
——親であるあなたから、息が抜けていく。
そして、張りつめた親の横で、子どもは静かに息をひそめる。あなたの緊張は、ちゃんと伝わってしまう。これは、あなたを責める話ではない。僕も、同じ顔で子どもの前に立っていた一人だ。
演じた分だけ、どこかで崩れる
理想の親で、いようとする。
正しい言葉を、選ぼうとする。
いつも穏やかで、いようとする。
——子どもの前では、弱さを見せまいとする。
その努力は、本物だ。あなたは、ちゃんとやろうとしている。だからこそ言う——人間に、崩れない日なんてない。
完璧な親を演じ続けるというのは、自分の疲れも、苛立ちも、不安も、全部フタをして生きるということだ。
——フタをした感情は、消えない。溜まる。
そして溜まった分は、たいてい、いちばん大切な相手の前であふれる。我慢した優しさが、別の日の爆発に変わる——その仕組みを、僕は何度も自分の中で見てきた。
「ダメな親だ」と、寝顔の横で思う
怒鳴ってしまった。
余裕が、なかった。
話を、最後まで聴けなかった。
手元のスマホから、目を上げられなかった。
——感情的に、なってしまった。
子どもが眠ったあと、その寝顔の横で、あなたは自分を裁く。「ダメな親だ」「僕のせいで、この子が」——その声は、いつも夜にやってくる。
ここで一つだけ、知っておいてほしいことがある。
寝顔の横で自分を責められる人は、子どもを蔑ろにしている親じゃない。心の底で向き合おうとしている人にしか、その夜は来ない。
ただ、責めることと、変わることは、別の話だ。自分を裁く時間は、明日のあなたの余裕を、また少し削るだけで終わってしまう。削られた余裕は、次の朝、また同じ苛立ちになって戻ってくる。
子どもは、向き直る背中を見ている
ここで、世間の当たり前を一つ、置き直したい。
いい親とは、隙のない完璧な親のことだ。
母親なら、自分を後回しにして当然。
親なら、間違えてはいけない。
——そう、いつの間にか刷り込まれている。
その常識こそが、親であるあなたを追い詰めている。
子どもが本当に必要としているのは、隙のない完璧な親じゃない。間違いに気づける親。子どもに向き直れる親。「さっきは言いすぎた、ごめん」と、ちゃんと頭を下げられる親だ。
考えてみてほしい。完璧な親の下で育った子は、「間違えてはいけない」を学ぶ。間違えても向き直る親の下で育った子は、「間違えても、やり直せる」を学ぶ。
——子どもは、親の正しさより、親の戻り方を見ている。
だから、謝れることは負けじゃない。向き直る背中こそ、どんな言葉より深く、子どもに「人生は何度でもやり直せる」を伝えていく。
親も、まだ途中の人間でいい
RE:STARTは、親もまた、まだ途中の人間だと考えている。
子どもを育てながら、親も、自分の傷や、不安や、押し殺してきた本音に、ゆっくり向き合っていく——その途中でいい。
正直に言う。僕も、十分に愛された記憶を持って大人になったわけじゃない。だから、自分の子どもには同じ思いをさせないと決めた。
完璧な親になれた、とは言わない。でも、子どもの気持ちを押しつぶすことだけはしない。しつこいおしゃべりにも、目と顔と耳を向けて、嫌な顔をせずに聴く。それだけは、自分との約束にしている。
ここで、あなたの親を悪者にして終わらせたいわけじゃない。あなたの親もまた、誰かに完璧を求められ、途中のまま親になった人だ。
大事なのは、誰が悪かったかじゃない。あなたが受け取った窮屈さを、子どもにそのまま渡さないと決めること——連鎖を、あなたの代で止めることだ。
親が自分の人生に向き合う姿は、どんなしつけより深く子どもに残る。「完璧」を見せるんじゃなく、「向き合う」を見せていく。それでいい。
完璧を一つ手放すなら、どれを
あなたは今、「こうあるべき」のどれを背負って、自分の息を止めていますか?
その一つを今日だけ手放すとしたら、子どもとの時間は、どう変わりますか?
小さくていい。
——「今日、1分だけ顔を上げて、目を見て話す」。それだけでも、立派な一歩になる。
完璧な親じゃなくていい。
途中の親で、いい。
自分の弱さも、間違いも、抱えたまま、
——子どもと並んで、育っていく。
すぐに、いい親になれるなんて言わない。明日からすべてが変わるとも言わない。でも、寝顔の横で自分を裁くのをやめて、明日また顔を上げる——その一回が、連鎖を止める最初の一歩になる。あなたは、もう向き合おうとしている。だから、大丈夫だ。
裁く夜から、向き直る朝へ
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