本当に欲しかったものに、お金を使えたのは、いつだったろう。
レジの前で、ためらった。
「自分なんかに」と、引っ込めた。
そういう手の引っ込め方を、何度くり返してきただろうか。
その「我慢」は、はじめは自分を守るためだった。お金がなかった時期、それは正しかった。
——でも、いつのまにか、それが「自分には使う価値がない」という口ぐせに変わっていないだろうか。責めているんじゃない。僕がずっと、そうだったから言っている。
お金は、減らすか我慢するかの、二択じゃない。
——「自分を満たすため」にも、使えるものだ。
同じ「使う」でも、中身がまるで違う
イライラして、買う。
将来が不安で、埋めるように買う。
誰かに見栄を張りたくて、買う。
——一人の夜が寂しくて、何かを注文する。
——買った瞬間は、たしかに満たされる。
でも、しばらくすると、なぜか虚しくなる。
「あれ、なんでこれ買ったんだろう」
——その小さな空白が、心の奥に積もっていく。
同じ一万円でも、自分を満たすか、自分を削るか。
——お金そのものじゃなく、「何の穴を埋めようとしたか」で、後に残るものが変わる。
自分を「整える」ことに、回してみる
ちゃんと眠れる寝具に、使う。
ずっと気になっていた学びに、使う。
大切な人と、同じ時間を過ごすために使う。
体の不調を、後回しにせず病院で診てもらう。
——心の底から「これだ」と思えたものに、使う。
——そういう使い方は、お金が減るだけじゃなく、自分という土台を整えていく。
正直に言う。僕は長いあいだ、自分にお金をかけるのが下手だった。家族のため、いつか何かのため——と言いながら、自分の体や心だけは、いつも順番が最後だった。立派な親でいなきゃ、という見栄に縛られて、肝心の自分を後回しにしていた。
——同じ一万円でも、何に向けたかで、半年後の自分がまるで違ってくる。
「節約は美徳」を、一度疑っていい
世間は、使わない人を立派だと言う。
——でも、我慢が癖になった人ほど、心がやせていくのを、僕は何度も見てきた。
節約は手段であって、目的じゃない。なのに、いつのまにか我慢そのものが目的になる。
——そうして、自分が本当は何に喜ぶのかさえ、わからなくなっていく。
ずっと我慢を続けた人は、いざお金が入っても、自分のためには使えない。
——「使う罪悪感」だけが、しっかり残っているからだ。
我慢でガチガチに固まった心は、豊かさをそばに置いても、受け取れない。
——自分を「整える」ことと、ただ「我慢する」ことを、どうか混同しないでほしい。
お金の使い方は、自分との関係そのもの
RE:STARTでは、
お金の使い方を、
——そのまま「自分との関係」として見ている。
何に、使うのか。
何を、我慢するのか。
何を、受け取れずにいるのか。
——何に、心が動くのか。
——そこに、ごまかしようのない本音が出る。お金は、嘘をつけない。
財布の中身は、あなたの人生観がそのまま映る鏡のようなものだ。
満たしたお金と、穴を埋めたお金
最近、使って心から「よかった」と思えたお金は、なんだろう。
逆に、虚しさを埋めるために使ってしまったお金は、あるだろうか。
この2つを、紙に並べて書き出してみてほしい。
——過去の自分を責めるためじゃない。これからのお金を、自分の本音に近づけていくためだ。
自分を満たすお金の使い方を覚えることは、
自分を大切にする練習そのものだ。
お金は、あなたの敵じゃない。僕もまだ、その付き合い方の途中にいる。一気には変わらない。
——それでも、使い方を一つずつ整えるたびに、自分との関係も、静かに整っていく。
お金との関係を、自分との関係から整え直す
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「使うこと」「受け取ること」の手前にある、自分との関係を見つめていきます。