夜中の台所。
洗い物の手を止めて、ふっと息を吐く。
「前向きにならなきゃ」——
そう言い聞かせた回数だけ、なぜか胸が重くなる。
前向きにならなきゃ。感謝しなきゃ。明るくいなきゃ。ポジティブに考えなきゃ。——その「なきゃ」を握りしめるほど、苦しくなる夜がある。
「なきゃ」が積み重なると、本来の感情が行き場をなくす。
——僕は、これを責めたくて書いているんじゃない。僕自身が、長いことそうやって自分をふさいできたから書いている。
落ち込むのは、そんなに悪いことか
落ち込んではいけない。
ネガティブは悪。
感謝が足りないからだ。
——波動が下がるよ。
世間にはこの手の言葉があふれている。
——でも僕は、はっきり言いたい。落ち込むあなたは、壊れてなんかいない。
ポジティブを目指す気持ちそのものは、悪くない。
——問題は、ポジティブで「上書き」しようとした瞬間、本音がいちばん奥へ押し込まれることだ。明るい言葉で蓋をしても、感情は消えない。ただ見えなくなるだけ。
その感情には、ちゃんと役割がある
悲しい。
悔しい。
寂しい。
怒っている。
怖い。
——もう、疲れた。
その感情には、必ず理由がある。意味もなく湧いてくる感情なんて、ひとつもない。
正直に言う。僕も昔は、こういう感情を「まだ前向きが足りないせいだ」と思い込んでいた。
——明るくしていれば、ちゃんとしていれば、いつか報われる。そう自分に言い聞かせながら、本当はずっと疲れていた。その疲れに、何年も気づかないふりをしてきた。
ネガティブは、敵じゃない。
——「ここが、あなたに合っていないよ」と教えてくれるサインだ。塗りつぶせば、サインごと見えなくなる。
前向きになる前に、まず立ち止まる
急いで明るくしようとする手を、一度止めていい。
——前に進む前に、まず本当の感情を見る。それだけだ。
何が、嫌だったのか。
何が、悲しかったのか。
何に、疲れたのか。
——何を、ずっと我慢してきたのか。
ここをちゃんと通り抜けたあとの「前向き」は、
——蓋をするための前向きとは、まったく別物だ。地に足がついている。
本物の前向きは、ネガティブを通り抜けた人のところにしか戻ってこない。これは言い切る。
無理にポジティブになることは、求めない
RE:STARTは、
あなたに無理やり前向きにさせる場所じゃない。
暗い感情も、
苦しい感情も、
——人生を見つめ直すための、大切な入口になる。
感情を「いい・悪い」で仕分けない。
——どれも全部、あなた自身の声だ。
あなたは今、どんな感情を隠そうとしているか
あなたは今、どんな感情を隠そうとしているだろう。
本当は、何に傷ついているだろう。
消そうとしていたその感情を、今日は一度だけ、自分の中で認めてあげる。
——直さなくていい。前向きにしなくていい。ただ「あったね」と置いてあげるだけでいい。
前向きにならなきゃと
思うほど苦しいなら、
まずは本当の感情を、見ていい。
そこから、本物の前向きさは、ゆっくり戻ってくる。すぐにじゃない。簡単にでもない。それでも、通り抜けた分だけ必ず戻ってくる。
——僕もまだ、その途中にいる。だから一緒に、自分の声から始めよう。
感情を、ちゃんと聞いてあげる時間を
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感情と人生のすれ違いを、両方ゆっくり見ていく時間だ。